Mastercam5軸POSTについて

Mastercam5軸加工用マシニングポストプロセッサーについて その1

ポストプロセッサーは通常ツールパスで作成した内部DATA(NCI)の情報から各種の機械に合わせたNC DATAに変換する機能を持ちます。Mastercamではこのポストプロセッサーを内部的に柔軟にカスタマイズすることが出来ますが、カスタマイズにはポストプロセッサー言語の知識や制御機の知識を必要とし、また非常に難しい部分があるため詳細のカスタマイズはあまり行われないのが一般的です。

しかしながら5軸加工を行う上で機械性能を最大限に出すためには、標準的に供給されるポストプロセッサーでは不十分な部分が多々あります。5軸ポストの質問として下記の項目などがありますが、これらの大半はポストプロセッサーのカスタマイズで対応することが可能です。
  • 「同時5軸DATAでCAM上では問題ないのに機械で加工すると食い込みが多々発生する」
  • 「先端点制御の付いていない機械では同時5軸加工は出来ない?」
  • 「原点は回転中心で設定しなければならない?」
  • 「割り出し加工では面ごとに原点を設定しなければならない?」
  • 「ツールパスで角度分割(点生成)しているのに急激に回転してしまう」
  • 「ヘッド旋回の機械では、先端点制御が必ずいる?」
  • 「CAMでは制御機マクロによる原点シフトは出力できない」??
  • 「傾斜面加工指令のオイラー角度って出力できる?」
など。そこで、これらの質問に対する制御機の考え方とポストプロセッサーの役割やカスタマイズについて説明していきます。

1.概要

3軸加工用のポストプロセッサーの場合、基本的に工具交換部分や直線補間、早送り位置決め、円弧補間などの部分の設定である程度機械は問題なく動作するのが大半です。(細かいカスタマイズを行う場合もあります)
しかしながら5軸ポストプロセッサーの場合には3軸とは違い、かなりのカスタマイズが必要になります。
大きく分けると下記の項目についてのカスタマイズを行う必要があります。
  • 機械の傾斜軸、回転軸の向き(AB軸、AC軸など)
  • テーブル旋回、ヘッド旋回などの区別
  • 制御機の種類
  • 制御機の機能との関連
  • 同時5軸DATAの出力
  • 用途によるDATA出力方法の変更
これらの項目の他、5面加工機などでは、アタッチメントの設定、座標変換などの細かいカスタマイズが必要となります。
(標準的なポストプロセッサーでは本来は正確に機械が動作しないケースが多々あります。)

Mastercam5軸加工用マシニングポストプロセッサーについて その2

2.機械軸構成について(基本)

5軸加工機の場合、基本的には2つの旋回する軸を持っています。この軸は一般的には傾斜軸と回転軸に区別されます。 この2つの軸は、ある旋回中心の点を中心に、ある軸を中心に旋回します。 この中心点と中心軸の判別が必要となります。

例えばAC軸と呼ばれる機械の場合、一般的には傾斜軸がA軸でX軸を中心に旋回します。
この時テーブル旋回ではX軸+側から見て時計回りが+回転、ヘッド旋回の場合は軸+から見て反時計回りが+回転が一般的です。 ※どちらも相対的には同じ回転方向です。(+回転方向は機械パラメータで変更できることや使用用途によって変わることは多々あります。)
次に旋回中心座標ですが、この座標は傾斜軸と回転軸の旋回中心座標が同じであればそれほど問題にはなりませんが、基本的には大半の機械が中心はずれています。このずれはテーブルが傾斜、回転したときに座標のずれが発生するために把握しておく必要があります。
(工具先端点制御や傾斜面加工指定機能が機械側にあれば、このずれは自動的に補正されますが、この場合も機械パラメータにこの中心の座標を設定しているので補正が可能となるので、必ず旋回中心の座標は知っておく必要があります。) この時、中心のZ座標については、原点の基準の考え方が色々ありますので、まず基準になる原点位置を把握しておく必要があります。

この旋回中心の座標のずれによってポストプロセッサーでは、座標をシフトすることも出来、またマクロプログラムなどによって原点をシフトすることも出来るようになります。

テーブル旋回、ヘッド旋回の区別

5軸機の場合基本的には2つの回転軸ともがテーブルが旋回する機械、ヘッドが2軸旋回する機械、1軸がヘッド旋回しもう1軸がテーブル旋回する機械に分かれます。
これらの違いは、特にXYZの座標の出力方法に関連してきます。

5軸加工機例
2つの回転軸ともが
テーブル旋回する機械
5軸加工機例
ヘッドが2軸旋回
する機械
5軸加工機例
1軸がヘッド旋回し、
もう1軸がテーブル
旋回する機械
テーブル旋回の場合は、基本的に機械のZ軸と工具主軸の切込み方向の変化が無いためXYの向きのみを補正するだけで軸方向の変更は必要ありません。この時、XY軸の方向を座標軸回転機能で対応するか、ポストで座標を回転させるかの判断が必要となります。またこの時YZ平面、ZX平面の円弧の処理についてもポストで調整が必要となります。
ヘッド1軸旋回、又はヘッド2軸旋回の場合には機械Z軸と工具主軸切込み方向は変化するため、出力はかなり変わってきます。
Z軸と工具切込み方向との違いは、XZやYZで切り込むようDATAを変換する場合や、3次元座標変換、傾斜面加工指定などを使う場合もあります。この時、固定サイクルの対応、早送りでのXYZ軸の同期、非同期の確認なども必要となります。
また、ヘッドが旋回する場合は、工具先端の位置が角度によって変わってきますのでどこの座標でDATAを出力するかの判断も必要になります。例としては、工具先端で出力、回転中心で出力、0°時の仮想先端座標で出力するなどの方法があります。

よって、このヘッド旋回、テーブル旋回の区別とその時のDATAの出力方法の判定が必要になります。

Mastercam5軸加工用マシニングポストプロセッサーについて その3

4.制御機メーカーについて

5軸加工機で使用されている制御機のメーカーは様々で各制御機によって出力するGコード、Mコードが違うことやオプション機能の有無、オプション機能の動作特徴の違い、Gコード、Mコード以外の特殊指令コード、マクロプログラムの違い(関数の機能の違い)などがあります。

3軸加工では、これらの違いは大きくは変わらないケースが大半ですが5軸加工の場合、これらの機能を使用することにより加工能力を最大限に発揮できることや、効率を上げることが出来るためこの制御機特有の機能を把握しておく必要があります。

5.制御機オプションとの関連について

5軸加工を行う上で、制御機に標準で付いている機能やオプションで付いている機能を使う場合と使わない場合では、NC DATAの出力は大きく変わります。ここでは一般的な違いについて説明します。
  1. 原点設定について
    5軸加工でテーブルが旋回する場合は、傾斜軸と回転中心の座標が一致しなければ、テーブルが旋回すると原点位置のずれが発生します。

    これを補正する方法として、傾斜面加工指令(G68.2、CYCLE19、CYCLE800など)の制御機機能がある場合には、この機能を使うためのコードを出力することが必要となります。この時出力は空間角度やオイラー角度などでの出力となる場合もあるためその角度をポストで計算する必要があります。

    また制御機メモリー上に作成したマクロプログラムを保管し、それをコールし原点の変化量を計算する方法もあります。この場合は、マクロコールで角度を渡す必要があることと、計算結果をNC上にどの様に反映させるかの指定が必要となります。この原点の変化量はプログラマブル原点座標入力機能や座標系変数番号への直接入力など様々な方法があります。

    これらの機能を使わない場合には、ポスト実行時に原点と回転中心のずれを入力し、変化量を内部で計算することも出来ます。この場合も、原点のずれを上記の入力方法で指定するか出力座標全てをシフトさせるなどの方法があります。

  2. XY軸の回転について
    加工DATAを作成する平面方向の指定によっては、傾斜軸、回転軸を旋回させただけでは機械のXY軸に合わない場合があります。この時のXYの角度ずれを制御機の座標回転機能を使うか、ポスト内部で座標を回転させるかの判別が必要になります。

  3. 切込み方向について
    ヘッド旋回の機械などでは、角度変化によって機械Z軸とは違う切込み方向となります。 この時も制御機の傾斜面加工指定機能を使う場合と3次元座標変換を使う場合もあります。これらの機能を使わない場合には切込み方向の座標をYZやXZなどにポストで変換する必要があります。

  4. 同時5軸加工の出力について
    同時5軸加工を行う場合にはNC DATAの出力形式は大きく4種類に分かれます。これは制御機の工具先端点制御(TCP)機能を使うかどうかとその機能を使う場合にも出力方法は分かれてきます。

    まず工具先端点制御を使わない場合には、角度は機械の傾斜軸、回転軸の角度を直接出力します。XYZ座標についてはテーブル旋回の場合は工具先端(補正点)、ヘッド旋回の場合には、旋回中心か仮想先端で出力します。この時、角度の変化量によっては、切削経路は大きく変わる場合があるため角度の分割出力が必要になります。

    次に先端点制御を使用する場合には、上記と同じDATA形式で先端点制御開始コードを出力する方法と、XYZ座標をプログラム作成時の先端座標で出力する場合があります。また、角度出力ではなく工具姿勢のベクトルを出力する方法もあります。 これらの違いは、制御機の機能の有無に関係するだけではなく、使用用途によって決定する必要があります。

    例えば工具ベクトルで出力する場合は機械の角度を任意に指定することは出来ないため傾斜軸の実際の角度は制御機の設定によることになります。また、円筒形状の回転方向の加工では、通常の出力を行う場合もあります。

Mastercam5軸加工用マシニングポストプロセッサーについて その4

6. 同時5軸DATA出力について

同時5軸加工を行う上で工具先端点制御(TCP)を使わない場合には、そのままのDATAで出力を行うと角度変化によって加工経路が大きく変わり、全く違う仕上がりになってしまいます。また送り速度についても一定の指令値で加工すると工具先端と製品との相対速度は場所によって大きく変わり加工時間が大きく変わることや工具動作が遅くなり仕上がりに影響することもあります。

これらを防ぐためポストプロセッサーでは先端点制御により近い動きが出来るように角度変化に対して出力DATAを分割して出力する必要があります。かつこの時刃部と切削物との相対速度が一定となるように速度を逆算してコントロールする必要があります。

角度の分割についてはCAMの設定で空間的に角度を保管させる機能が付いているものがあり、これによって急激な角度変化を防止できると勘違いされがちです。
この補間機能は空間的に角度を分割する機能のためNC DATAでの角度の急激な変化を防ぐことはできません。(ある程度まではこれによって経路変化を抑えることは出来ますが、完全ではありません) 
これは機械の軸構成によって傾斜軸と回転軸の角度変化は空間的には判断が付かないためです。
よってポストプロセッサーでは計算結果の角度から角度変化を判断しその変化量から角度分割量を求め分割計算します。この時先端経路のみを補間すると保管中に工具姿勢を保つことが出来なくなるため補間時には指令点と工具ベクトルから移動時の仮想ルールド面を作成しそのルールド面上で分割を行う必要があります。
この計算は傾斜軸の変化量と回転軸の変化量のどちらも見る必要があります。
また工具姿勢ベクトルが工具主軸ベクトルと同じ方向になる場合、機械傾斜軸のリミットによって計算を変える必要があります。
この時に注意しなければならない点は指令点では工具姿勢ベクトルとZ軸ベクトルは一致しないがその間の経路として一致することもあります。この場合は、角度補間中に一致しているかの計算を行わなければなりません。その上で傾斜軸のリミットが+側のみ。-側のみの場合は、回転軸を180度回転させる補間を行わなければなりません。

これらの計算をCAMの角度補間機能と組み合わせることにより確実なDATAを出力することが出来ます。

また、速度指令については指令移動量がXYZ移動量と傾斜軸、回転軸移動量(角度)になりその数値を指令速度で動作するため、実際の工具と切削物との相対移動量と指令移動量から指令速度を計算する必要があります。

これらの内容は非常に難しい内容ですが、この機能を使わない場合と使う場合の動作の比較を行うと簡単に結果を把握することが出来ます。

同時5軸加工を行う上で工具先端点制御機能が制御機についていない場合には、この角度補間機能が無ければければ、加工用途は非常に限定されます。

7. 用途によるDATA出力について

ポストプロセッサーを作成する場合には、基本的に大まかに切削の確認と機械の確認を行います。この用途によって出力する形式を決定する必要があります。

例えば精密部品の加工を種に行う場合には、角度を割り出した平面で原点補正を行って再切削を行うなどの場合には、原点の自動設定ではなく、ワーク座標系番号を各面に割り当て後で修正できる形をとる場合もあります。
また2軸回転テーブルの取りはずしを頻繁に行う場合には、回転中心の座標を簡単に変更できるようカスタマイズするケースもあります。

これらの用途打合せによって、最適なDATA出力を供給するのがポストプロセッサーのカスタマイズになります。

Mastercam Post5軸加工用ポストプロセッサ販売

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